八ヶ岳を行く ’94夏

 

 八ヶ岳は数度訪れている山域です。北は北横岳〜南は編笠山まで南北に連なる連峰で、その規模や標高は第4の日本アルプスと言っても良いのではないでしょうか。1994年の夏は、その中央部にあたる夏沢峠から主峰赤岳までを縦走しました。あいにく山行記録が残っていませんので、その様子を写真で回想しながら紹介します。(1999.6.20)

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 八ヶ岳への入山は、今でこそ美濃戸からという人が多いようですが、昔は夏沢峠からというのがメジャーだったようです。1994年の夏、私と山師匠はこのルートから八ヶ岳に入りました。とはいっても、林道をクルマで夏沢鉱泉の近くまで入ることができ、峠まではそれほど距離はありませんでした。夏沢鉱泉を過ぎて途中休憩しているときには、野性のカモシカが真横まで来てビックリ。水の豊富なオーレン小屋を横切り、夏沢峠に到着しました。峠には2つの小屋が並んでいますが、我々は「山彦荘」に宿泊です。ここからは、硫黄岳の爆裂火口が目の前に切り立っていました。


山彦荘前から硫黄岳の爆裂火口を見上げる

 

 山彦荘は小さなランプの宿で、初老の小屋番御夫婦が切り盛りしています。夕食後にはアットホームな雰囲気でランプの下でおやじさんを囲んで団らん。お酒とおやじさんの歌が飛び出して、一気に盛り上がりました。そしてさらに珍客が訪れます。モモンガとヤマネが小屋の中まで入り込み、エサを食べていきました。こうして印象深い山小屋の夜は更けていきました。


モモンガ


ヤマネ

 

 翌朝は硫黄岳へ登りました。なかなかの急登なのですが、グングン展望が開け、北アルプスや中央アルプス、御岳や乗鞍岳などが見渡せました。


穂高連峰〜槍ヶ岳方面


後立山連峰(鹿島槍ヶ岳〜白馬三山)方面


中央アルプスの全体

 

 硫黄岳山頂はゆるやかで広々とした場所です。しかし爆裂火口が切れ落ちており、霧が出たりして見通しが悪くなったときには危険です。ケルンが林立しているのは、それを目印とするためでしょう。


ケルンの林立する硫黄岳山頂

硫黄岳から見る天狗岳
(西天狗と東天狗が並ぶ)

 

 硫黄岳を南へ進むと、鞍部に硫黄岳山荘があります。ここがこの日の宿となります。重い荷物を置かせてもらい、サブザックに必要最低限のものだけを詰めてさらに南を目指しました。硫黄岳山荘周辺は、小屋の方の努力で高山植物が保護・育成されています。特にコマクサの群落は見事でした。


岩陰に咲くコマクサ

南側から硫黄岳を見上げる

 

 硫黄岳山荘からは、横岳などのいくつかの峰を越え、トラバースしながら進む縦走路です。この日はほとんどガスに見舞われてしまい、展望はありませんでした。途中お花畑を横切ったりしながら、赤岳展望荘に到着しました。ガスだけでなく風も強い日となりましたが、せっかくなので赤岳へ登ることにしました。途中クサリ場なども通過し、いよいよ八ヶ岳の主峰赤岳山頂に到達しました。回りは真っ白で何も見えません。強い風の中で早々に退散しました。


ガスの切れ間に姿を現した横岳

 

 こうして来た路を硫黄岳山荘まで引き返しました。翌日は硫黄岳から直接オーレン小屋に通ずるルートにて下山し、この山行を終えたのでした。展望こそあまり得られませんでしたが、山小屋の魅力などを再発見できる楽しい旅でした。

(おわり)

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