瑞牆山は奇岩の山 ’94夏

 

 甲州の瑞牆山(みずがきやま)を訪れたのは1994年の7月、甲府で40度近い気温を観測した暑い日でした。そのときの模様を回想してみます。(1999.6.30記述)

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 その日は朝から山師匠と私は中央自動車道を走り、須玉ICを下りて北上しました。ラジウム温泉として有名な増富温泉を通過し、瑞牆山荘まで入ります。ここから瑞牆山を目指しました。林道を横切ったりしながら登っていくと、やがて目の前に奇岩怪石の塊が出現します。これが瑞牆山か!と思わずうなってしまうような山容です。


瑞牆山、出現!

 富士見平という場所まで登ると山小屋があり、金峰山方面との分岐に出ます。瑞牆山方面のルートはいったん下りとなり、おりしも暑い日でしたので損をしたような気分になりました。下りきったところに沢が流れています。この水が沸きだしているところがあります。これは美味しい、今度は得をした気分でコーヒーを沸かして飲みました。ここからが、奇岩怪石を縫うように登るルートになりました。それは岩山登りとも違う、何か独特のものとしか言いようがありません。

 


↑瑞牆山へ登る途中、金峰山を見上げる

 

 ←巨大な岩の柱を見上げる

 やがて最後の岩を巻くと山頂に到着します。そこはやはり巨大な岩の折り重なる場所でした。そして・・・、そこにはすでに50名はいようかという人、人、人。これには驚きました。そういえば、途中にも十数人ほどの中高年者のパーティを追い抜きました。それはともかく、ここからの眺めは空中から下界を見るようでした。

 

瑞牆山山頂から下を見下ろす

 どういうわけか、遠景は霞んで見えません。本当なら富士山や南アルプス、八ヶ岳などが見えるでしょう。ここで昼食をとってのんびりした後、下山しました。帰り道には増富温泉にも立ち寄って、ラジウム温泉を満喫して帰途につきました。

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 それにしても、瑞牆山というそれほど有名とは言いがたい山にあれほどの人。思い起こせば、登山口にはマイクロバスなどもありました。おそらく「百名山ツアー」の類ではないでしょうか。今でこそNHKなどでも放映されて”百名山”が注目されていますが、ブームは当時からあったのです。そして旅行社などの企画するツアーもありました。NIFTY SERVEには、まだ山の展望と地図のフォーラム(FYAMAP)はなく、山のフォーラム(FYAMA)において、このことに対して苦言を呈したことがあります。

 それは団体登山に対する批判と、”百名山”ばかりにこだわることへの疑問でした。百名山とはいっても、これは深田久彌が『日本百名山』に著した山のことです。私も氏の著書は大好きで、その作品の多くを読んでおり、蛇峠山に行きたいと思ったのも晩年のエピソードとして登場する山だからです。しかし、氏が個人的に選定した百名山が多くの人の登山基準になるというのは、本人も望んではいないのではないかと思います。たった百の山に多くの登山者が集中するというのは、その山にとっても望ましい状態とは言えないでしょうし、そこに選定されているか否かによって山に格付けがされるのも変な話しです。

 瑞牆山は大変個性的で面白い山でした。この山を知ったのは、ほかならぬ『日本百名山』からです。しかしもしここに選定されていなければ、もっと静かな山だったかもしれないなどと、うがった考えも浮かんでしまいます。複雑な気持ちにならざるを得ません。(おわり)

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