残雪の富士見台オフ '96冬

 

 3/20(春分の日)は、天気予報によれば素晴らしい晴天のはずでした。で も高気圧の位置が少しずれたとかで、やや雲の多い一日となりました。しかしな がら、この時期の展望としてはなかなかのものが得られたので報告します。この日東海地区の 有志5人と1匹による「富士見台オフ」が開催されました。岐阜県中津川市と長 野県の阿智村の境、恵那山の北東に位置する富士見台。FYAMAPではおなじ みの山で、展望百名山にも推薦されています。ちなみに3/10に一度敗退して います。

 中津川側から林道をクルマでアプローチ。前回より雪はかなり少なくなってお り、神坂峠まで行けそうな雰囲気でした。前回クルマを断念した「強清水」は難 無く通過し、徒歩での最終地点だった「広場」までもクルマで行けました。さら に先まで行けそうだったので、無謀にもトライ。相当の悪路を冷や汗モノで登っ て行きます。しかし途中で轍が無くなり、上部の雪が道路まで崩れている箇所が 出現し、さすがにクルマは断念。そこから徒歩となりました。林道を縫うように登山道があり、テープと足跡を頼りに登ります。雪が締まっ ており、かといってガチガチではないという、徒歩には最適な条件でしたので、快調に神坂峠に到着しました。東に南アルプスが見えます。両脇に山があって視 野は狭いのですが、聖岳から南、上河内岳・光岳・池口岳などが見えます。

 そこから富士見台への登山道には足跡が無く、夏の勘を頼りにトラバースしな がら進みました。左手には常に恵那山の雄大な姿があり、その右には笠置山が霞 の上に浮かんでいます。かの蛇峠山も恵那山の左方向に見えています。途中、右にカーブする開けた地点で、北部の展望が得られました。正面には偉 大なる御嶽。その右に乗鞍岳も姿をのぞかせています。笠置山と御嶽の間遠方に は、白山がうっすらと幽玄な姿を見せています。

 

 ここからは笹原の高原となるため視野は広がります。足元はほとんど雪ですが 岐阜県側の斜面はほとんど解けた状態です。万岳荘からの道との接点にあたる鞍 部からは、南アルプスが再び見えました。今度は塩見岳以南と範囲が広がりまし た。この鞍部から長野県側の斜面は、スキーをするには実に好ましい斜面となっ ており、板が欲しいと悔しがる人もいます(私含む)。ここから廃屋に近い神坂小屋の脇を抜け、富士見台頂上へ向かいます。長野県 側は残雪の量が半端ではなく、尾根では崩れそうな雪庇まで形成されています。 これが富士見台?と疑うような、冬山気分の世界でした。夏道はまったくわから ないので、安全そうな箇所を自由に登って行きます。北西からの風を受けながら それを遮るもののないだだっぴろい頂上に到着しました。

 富士見台頂上に到着した我々5人+1匹は、素晴らしい展望に巡り合うことが できました。360度広がるパノラマ展望の世界です!

 南西方向目前には、頂上の長い巨大な恵那山の姿。樹林の間に多くの雪がある ことが確認できます。右に笠置山や二ツ森山。はるか彼方に白山。裏木曽の山々 も雪深そうです。その向こうに大きな御嶽と乗鞍岳、そして穂高連峰の3ショッ ト。穂高は西穂・奥穂・前穂が見えているようです。その右は常念岳を始めとす る常念山脈の山でしょう。北東方向は、富士見台から延びる南沢山への稜線。その向こうに独立峰のよう な南木曽岳。そして中央アルプス。三沢岳から木曽駒ヶ岳・宝剣岳、手前に空木 岳や南駒ヶ岳など。そして右へ目を移せば、視界の90度は占めるのではないか と思われる南アルプスの大パノラマ。鋸岳や甲斐駒ヶ岳に始まり、聖岳・上河内 岳までの3000米級の壁。さらに光岳以南の最南部の峰々が遠く霞んで続いて います。手前にはアンテナ塔が特徴的な蛇峠山があります。中央アルプスと南アルプスの間には、目を凝らすと八ヶ岳南部の峰が確認でき ます。白山の左手に見えるはずの奥美濃の山々や荒島岳は、今回はまったく確認 できませんでした。

 こうした展望をおかずに雪上での昼食。少々寒かったですが、格別の美味しさ でした。帰りは万岳荘まで降り、林道を下ることになりました。林道といっても あまりの雪の多さにクルマの通った形跡はありません。誰かが残したスキーの跡 と、つぼ足となって苦しんだであろう足跡がずっと続いています。クルマに到着 し降り始めるころには、恵那山にガスがかかっていました。今回参加したFYAMAPのメンバーも、それぞれに富士見台を知り、また再 認識できたのではないかと思います。もちろん私も、冬の姿を見ることができ、 四季を通じて歩くのもいいなと思っています。展望百名山にふさわしい山である ことを改めて強く感じ、これからも機会があればいろんな関わりを持っていきた い山です。夏には是非1泊してみたいと考えています。

(1996.3.21 FYAMAPに掲載)

※ 挿入写真は、参加メンバーの一人である陳夢龍さんからお借りしました。ここでお礼申し上げます。
   当時としては先進的なデジタルカメラであった、カシオQV−10で撮影されたものです。

 ホームへ