荒島岳、登頂せず ’93春
1993年5月4日。GWの最中、山師匠とどこかの山へ行こうということで、比較的近い距離にある福井県の荒島岳に向かいました。深田久弥の『日本百名山』を読むまでは、正直言ってその存在も知らなかったのですが、この目で確かめてみようという気持ちもありました。そのときの様子を回想します。(1999年10月16日記述)
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岐阜県から油坂峠を越えるとそこはもう福井県。九頭龍ダムが造りだした九頭龍湖が姿を現します。その横を通り抜け勝原スキー場へ。すでにシーズンを終え閑散としたゲレンデが、実は荒島岳の登山口のひとつとなっています。しばらく日光を遮るものの無いゲレンデを黙々と登り、やがて樹林帯に入ります。
↑樹林帯の中の残雪 ←勝原スキー場のゲレンデを登る |
樹林帯も最初は快適だったのですが、やがて残雪が目立つようになり、上へ行くほどその雪が深くなってきます。いよいよ冬山さながらの雪の山行となり、思うように前へ進むことができません。樹林の間からは白山連峰なども眺められますが、それを楽しむのも惜しんで登ります。ようやくの思いで「しゃくなげ平」という途中のちょっとしたピークに到達しました。
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しゃくなげ平には結構人がいました。一面深い雪に覆われています。今後どうするかを考えましたが、残雪によりかなりロスタイムがあったため、山頂まで行った場合、帰りが暗くなってしまう可能性もあります。この先、雪でさらに歩きにくいかもしれません。迷った挙げ句、ここで引き返すことに決めました。
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そうと決まったら、しゃくなげ平でのんびりします。昼食をとりながら眺めを楽しみます。目の前には3つのピークからなる荒島岳山頂が見えています。また足元の深い谷を隔てた向こうには、神々しく白山連峰が大きな姿を見せています。これらの景色を堪能した後、下山。下界では残雪がウソのように、やや暑くさえあるGWの晴れ間が続いていました。荒島岳も昨今の「百名山ブーム」によって、多くの人が訪れているとのこと。果たしてそれが荒島岳にとって歓迎すべきことなのか、また深田久弥が望んだことなのか、私にはわかりません。(おわり)
しゃくなげ平から見る白山連峰 |